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M&Aにおけるティーザーとは?その役割と作成方法について詳しく解説!

2024.09.17

M&Aのプロセスにおいて初期段階で提示される「ティーザー」の役割や重要性を理解することは非常に重要です。本記事では、ティーザーの概要、ノンネームシートとの違い、そして作成時のポイントについて詳しく解説します。

M&Aのティーザーとは?基本情報と役割

ティーザーの概要

ティーザーはM&Aプロセスの初期段階で使用される匿名性の高い資料で、買収希望者に対して初歩的な情報を提供します。ティーザーは、企業がM&Aによる売却を検討している場合、その情報を広く公開する前に、潜在的な買収者に対して、企業の概要や売却の意向を伝えるための重要なツールとなっています。ティーザーは、企業の正式な売却資料である「インフォメーション・メモランダム(IM)」とは異なり、企業名や具体的な財務情報などを含まず、匿名性を保ちながら、企業の概要や売却の目的、譲渡対象となる事業内容などを簡潔に記述するものです。

インフォメーションメモランダムについては、「インフォメーションメモランダムとは?作成方法とポイントを解説!の記事を参照ください。

ティーザーの重要性

ティーザーは、買収希望者の関心を引くための重要な資料であり、企業の魅力を簡潔に伝える役割を果たします。ティーザーによって、買収希望者は、企業の概要や売却の意向を把握し、M&A案件への関心を高めることができます。

また、ティーザーは、企業がM&Aプロセスを進める上で、適切な買収候補者を選定するためのフィルターとしても機能します。ティーザーの内容に興味を持った買収希望者のみが、より詳細な情報が記載されたノンネームシートやインフォメーション・メモランダム(IM)の閲覧を希望するようになり、企業は、M&Aプロセスを効率的に進めることができます。

 

ティーザーとノンネームシートの違い

ノンネームシートの特徴

ノンネームシートはティーザーよりも最小限の情報を提供する資料で、ティーザーと同じく、企業名を含めない形式で情報が記載されます。ティーザーは、ノンネームシートで興味を持った買収希望者に対して、企業の詳細な情報を提供するために作成されます。ノンネームシートが企業の概要を簡潔に伝える資料であるのに対し、ティーザーは、会社が特定されない範囲でのおおよその財務状況、事業内容、競合状況、経営戦略など、より詳細な情報を提供します。ただし、ティーザーでも、企業名は明記されず、企業の特定を避けるために、コードネームや仮称が使用されることが多いです。

ノンネームシートについては、「ノンネームシートとは?その役割や記載内容、注意点を徹底解説」の記事を参照ください。

ティーザーとの使い分け

ノンネームシートは最初の興味を引くために使用され、ティーザーはその後の詳細な調査のために提供されます。ノンネームシートは、買収希望者に対して、企業の概要や売却の意向を伝えるための最初のステップであり、ティーザーは、ノンネームシートで興味を持った買収希望者に対して、より詳細な情報を提供することで、M&Aプロセスをさらに進めるためのステップとなります。

 

ティーザーの記載内容と作成ポイント

企業の基本情報

企業名を除く基本情報(業種、所在地、従業員数など)を簡潔に記載します。ティーザーは、企業の概要を簡潔に伝える資料であるため、企業名や具体的な財務情報などを含まず、匿名性を保ちながら、企業の基本情報を記載することが重要です。企業名や具体的な財務情報などは、インフォメーション・メモランダム(IM)で提供されます。

売上高・利益率

売上高と利益率の情報は匿名性を保ちながら、企業の規模感を伝えるために重要です。ティーザーでは、企業の売上高や利益率などの具体的な数値を明記することは避け、匿名性を保ちながら、企業の規模感を伝えるために、売上高や利益率のレンジや成長率などを記載することが一般的です。 例えば、売上高は「100億円以上」、利益率は「10%以上」のように、具体的な数値ではなく、レンジで表現することで、企業の規模感を伝えることができます。

譲渡の理由とアピールポイント

譲渡の背景や企業の強みを記載することで、買収希望者の関心を集めるポイントになります。ティーザーでは、企業がM&Aによる売却を検討している理由や、企業の強み、競争優位性などを簡潔に記述します。譲渡の背景としては、事業の成長戦略、経営資源の集中、事業ポートフォリオの再編などが挙げられます。企業の強みとしては、技術力、ブランド力、顧客基盤、市場シェアなどが挙げられます。

 

作成時の注意点

特定される情報が無いか確認

匿名性を保つために、企業が特定される情報が含まれていないかを必ず確認します。

企業が特定され、売却を考えているという情報が出回れば、企業価値は下がってしまいます。そのため、企業が特定されるような情報が含まれていないかを注意深く確認することが重要です。例えば、企業の所在地、従業員数、主要顧客、競合会社などの情報は、企業の特定につながる可能性があるため、ティーザーでは記載を避けるべきです。

魅力が伝わるような工夫

企業の魅力を的確に伝えるために、簡潔かつ具体的なポイントを盛り込みます。ティーザーは、買収希望者の関心を引くための資料であるため、企業の魅力を簡潔かつ具体的に伝えることが重要です。企業の強み、競争優位性、成長性などを、具体的な数字や事例などを用いて、分かりやすく説明することで、買収希望者の関心を高めることができます。

 

まとめ

ティーザーはM&Aの初期段階で買収希望者に提示する資料であり、インフォメーションメモランダムよりも前の段階で提示されるため、より抽象度が高く作成する必要があります。

買収候補企業に対し、対象企業の魅力を簡潔に伝えることが重要である一方、会社を特定できるような内容が含まれていないか、十分確認すること必要です。

 


執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 

株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。


 

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