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アクハイアリングとは?その定義・目的・事例について解説!
2024.10.31
アクハイアリング(Acqui-hiring)とは、Acquisition(買収)とHire(雇用)をかけ合わせたM&Aに関する造語です。あまり馴染みのない単語ですが、効率的な人材確保の手法として、多様な業界で活用される手法です。アクハイヤー、アクイハイヤーをも呼ばれます。
本記事では、アクハイアリングについて解説します。
目次
アクハイアリングの定義
アクハイア(Acqui-hire)とは、Acquisition(買収)とHire(雇用)をかけ合わせたM&Aに関する造語です。
M&Aは、企業によってその目的やメリットは異なります。その中で、アクハイアリングは、人材獲得を目的として行うM&Aのことを指します。
高度な知識やスキル、経験を持つ優秀な人材の確保は、事業において非常に重要な戦略です。しかし、こうした優秀な人材を囲うことは非常に困難で、多くの企業が抱える課題の一つでもあります。そのため、企業は一から優秀な人材の確保を試みるのではなく、別の企業を買収することで、組織ごと獲得するケースがあります。それが、「アクハイアリング」です。
アクハイアリングの目的
最近では、「人的資本」という言葉を聞くようになりました。「人材」は会社の重要な「資本」であるということです。そして、事業の推進のため、人的資本を強化するためには、①人材育成と②人材採用の両面が必要となります。人材育成と人材採用はともに相応のデメリットがありますが、アクハイアリングをすることで、これらを迅速に解消することが可能です。
人材育成
既存の人材に、スキルアップのための教育を施します。個々の従業員が、それぞれスキルアップすることで、生産性の向上に繋がり、会社としての生産性、利益、事業幅に繋がります。しかし、一から人材教育を行うには、膨大な時間とリソースが必要になります。教育体制を整え、教育のための人材を確保することになります。そして、スキルは一瞬で身に付きません。どうしても、時間がかかってしまいます。特に、革新が目まぐるしいIT業界などでは、対応が非常に難しさを伴います。
人材採用
自社で人材育成をおこなわないのであれば、すでにスキルを身に着けた人材を採用することもできます。求人サイトや、エージェントから紹介、スカウトなどがこの例です。
アクハイアリング
新たに人材を獲得する手法として、求人をあげました。しかし、一人ひとり採用するには、時間も、採用コストもかかります。そこで、一括で組織ごと獲得するのが、アクハイアリングです。アクハイアリングでは、優秀な人材を一括で採用し、すぐに即戦力での活躍が期待できます。
アクハイアリングの事例
株式会社ユーグレナの事例
ユーグレナは、ミドリムシを活用した健康食品事業、バイオ燃料事業、バイオインフォマティクス事業を運営しています。2012年の上場以降、バリューチェーンの強化、新領域への拡大を目的としたM&Aを行っていましたら、2018年以降はアクハイアリング目的のM&Aを実行しています。
具体的には、デジタルに特化したD2C人材の獲得を目的として、以下の企業を買収しました。
2018年4月 健康食品D2C企業の株式会社フック
2019年6月 健康食品D2C企業の株式会社MEJ
2021年3月 スキンケアD2C企業の株式会社LIGUNA
年々、デジタル人材の採用は難しくなっており、そのノウハウを持った優秀な人材を数多く獲得するため、アクハイアリング目的のM&Aを行いました。
TIS株式会社の事例
TISは、国内大手のシステムインテグレーターで、主にクレジットカード会社の基幹システム開発に強みを持っており、近年は、事業領域に拡大をしており、特に、金融包摂、スマートシティ、エネルギー、ヘルスケアの4つの分野にて、M&Aを含めた規模の積極投資を行っております。
2020年8月に、データ分析・AIのコンサルティングを行う澪標アナリティクス株式会社を子会社化。TISグループのDX/データ活用のビジネスを拡大するための、人材を獲得 する目的と言われています。
また、2022年8月には、業務システムのUI/UXデザインコンサルティングを行うFixel株式会社を買収。TISグループの中心事業であるシステム開発をより上流工程への進出のために、必要なコンサルティング人材を獲得しました。
まとめ
昨今の社会問題である人材不足を解決するために、アクハイアリングは有効な手段であると考えられます。特に、DXの必要性の高まりを背景に、当該分野のスキルのある人材の獲得のためのM&Aの件数が増加傾向となると予想されます。また、AI分野においても、同様の傾向が見られるでしょう。
執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏
株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。
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