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業務提携とは?メリット・デメリットや成功のためのポイントを解説!

2024.08.21

「業務提携」と似た言葉や概念として「資本提携」や「M&A」があります。正確にその違いを理解して、業務提携に臨むことができるように、今回は「業務提携」とは何か、さらには、メリット・デメリット、成功させるポイントや実例について、説明します。

目次

業務提携の基本概念

業務提携とは、資本関係を有しない異なる独立した企業や組織が互いのリソースや技術を共有し、共同でビジネスの目標を達成するための戦略的なパートナーシップを築くことです。「資本提携」と異なり、出資や株式交換等の資本の移動がないことが特徴的です。

また、親会社と子会社が、協働することは一般的に多いですが、このように資本関係のある会社同士の協働は、業務提携とは呼びません。
さらに、「業務」という言葉の通り、特定の業務を協働することを指すため、包括的な事業全体の協働は、業務提携に含まれず、「M&A」のようにどちらかの会社が他方の株式を過半数以上買い受けることによって、上下関係が構築されることもありません。

業務提携の目的には、リソースの共有、新市場の開拓、技術の共同開発などがあります。 例えば、製造業の企業が技術提携を行うことで製品の品質向上や新製品の開発が加速し、販売ネットワークを持つ企業と提携することでより広範な市場へのアクセスが可能になるなど、多くの利点があります。

 

業務提携のメリット

リソースの共有によるコスト削減

互いのリソースを共有することによって、今まで使われていなかったリソースを有効活用し、管理費用などのコストを削減することが出来、新たに1から多額の費用を投じるよりも大幅にコストを削減することができるというメリットがあります。

リスクの分散

互いに技術を出し合って、共同開発を行う場合、開発が失敗した時の損失も両社で分け合うことになるので、リスクヘッジになるというメリットがあります。

新しい市場への進出

相手方がすでに進出している市場を迅速に獲得することができるため、自社にはない流通網、販売網を獲得することが出来、結果として、売り上げの上昇や知名度の向上を図ることが可能となります。

技術の革新

技術提供を受ける場合は、互いに自社にない技術を活用することができるようになるため、製品のクオリティーの上昇、開発期間の短縮、開発コストの縮減を実現することができます。

 

業務提携のデメリット

利益の配分に関するトラブル

業務提携は契約によって行われるため、会社法上の手続きなどは不要で簡単に行うことができる半面、当事者同士で行った利益の配分について契約内容として、明確に定められていないことも多く、トラブルのもととなります。

経営情報や技術の流出の危険

業務提携を行う場合、お互いに自己の持つ情報や技術を共有することが必要となるため、それらの情報の流出のリスクが伴います。

業務提携の実績不振

業務提携は資本の移動がないため、思ったよりも目に見えるシナジーを生み出すことができず、提携による実績が振るわなくなる可能性があります。

 

業務提携を成功させるためのポイント

明確な目標設定と期待の共有

双方の目的が一致し、具体的な成果を定義することで、提携の方向性が明確になります。
提携の方向性が異なると、同じ目標に向かって協働することができなくなり、業務提携を成功させることは困難となってしまいます。

信頼関係の構築

業務提携は両社の協働によって行われるため、コミュニケーションを密にし、問題が発生した際には迅速に対処することが、成功への鍵となります。

契約内容の綿密性

提携契約の内容も慎重に設計する必要があります。契約書には、責任分担や利益配分、解消条件などを明確に記載し、将来的なトラブルを防ぐことが重要です。契約内容については、専門家によるチェックを入れることで、その後のトラブルを回避に繋がります。

 

業務提携の実例とトレンド

近年では、デジタルトランスフォーメーション(DX)化推進のために、大手企業間でも、業務提携が利用される事例が増えています。具体的に以下の事例を紹介します。

NTTと三菱商事の提携

三菱商事とNTTは、2019年に「産業DX推進」に関する業務提携を発表しました。この提携の目的は、両社の強みを活かし、産業分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することにあります。 まずは食品流通分野のDX化に着手し、食品卸の在庫最適化ソリューションの開発を進めめ、2021年度よりNTTは連携基盤を、三菱食品が運営するローソン向け物流センターに提供しました。

参照:三菱商事とNTT、「産業DX推進」に関する業務提携に合意(2019年12月20日)

ソフトバンクと日立製作所の提携

ソフトバンクと日立製作所は2022年9月30日、製造現場のデジタルトランスフォーメーションを促進するサービスの提供に向けて協業を開始したと発表しました。製造現場における作業員の動作や生産設備の稼働データなどの4Mデータを収集、蓄積、分析して生産状況を可視化する「製造現場可視化サービス」を提供し、生産ロスの要因の特定による製造現場における生産性の向上を支援します。

参照:ソフトバンクと日立、製造現場のDXを推進するサービスの提供に向けて協業を開始(2022年9月30日)

 

まとめ

業務提携とは、異なる企業や組織が互いのリソースや技術を共有し、共同でビジネスの目標を達成するための戦略的な協力関係であり、リソースの共有や新市場の開拓、技術の共同開発等にりより、コスト削減やリスク分散、競争力の向上が期待できます。そのためには、明確な目標設定と信頼関係の構築、契約内容の詳細な設計が重要です。また、近年では、DX化に関する業務提携の事例が多く生まれており、情報化社会において競争力を高める手段になるものと思われます。


執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 

株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。


 

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