Knowledge M&Aお役立ち記事

アライアンスとは?その基本的な説明からメリット・デメリット、成功事例まで徹底解説!

2024.08.24

プレスリリースやニュースで、時折、「大手企業とのアライアンス」等というアライアンスという言葉を目にしますが、正確にはどのような意味でしょうか。また、一言でアライアンスといっても様々な種類があります。本記事では、これらの解説だけでなく、成功事例等の紹介も行います。

目次

アライアンスの定義

アライアンスとは、複数の企業や組織が共通の目標を達成するために協力するパートナーシップのことです。このパートナーシップは、リソースの共有や技術の連携、マーケットアクセスの拡大など、さまざまな目的で形成されます。ビジネス環境が急速に変化し続ける中で、アライアンスは競争力を維持し、成長を促進するための重要な戦略となっています。特に、異業種間のアライアンスは、新たなビジネスチャンスの創出や革新的な製品・サービスの開発を可能にします。

似た概念としてM&Aがあり、どちらも自社の利益創出が目的であることは同じですが、M&Aは経営権を移転するのに対して、アライアンスは経営権が移転せず協業関係にあることが大きな違いとなっています。

 

アライアンスの種類

アライアンスには主に以下の種類があります。

①業務提携

 複数の企業が技術・人材などの経営資源を互いに提供し、協力体制を構築するアライアンスを指します。経営の独立性を保ちながら、特定の業務分野で協力関係を結ぶ方法です。

②資本提携

企業間で株式を持ち合うか、一方が他方の株式を取得することで資本関係を作ります。 通常、持ち株比率は1/3未満に抑え、経営への影響を最小限にします。

③技術提携

業務提携の一形態で、技術分野に特化したアライアンスを指します。特許やノウハウのライセンス契約、新技術・新製品の共同研究開発などが含まれます。

④産学連携

大学などの教育機関や研究機関と民間企業が連携するアライアンスを指します。 新事業や研究開発を共同で行うことを目的として行われます。

⑤生産提携

製品の生産や製造に関する協力関係を作出するアライアンスを指します。

⑥販売提携

製品やサービスの販売・マーケティングに関する協力関係を生み出すアライアンスを指します。

 

これらのアライアンスは、企業の目的や状況に応じて選択され、時には複数の形態を組み合わせて実施されることもあります。例えば、技術提携と販売提携を同時に行うなど、柔軟な形でアライアンスを構築することが可能です。

 

アライアンスのメリット

リソースを共有することで、各企業の負担を軽減し、運営コストを削減できます。

また、新市場への参入が容易になり、アライアンス先のネットワークを活用することで、新たな顧客層にリーチすることが可能です。

さらに、知識と技術の共有により、互いに学び合い、技術革新を促進することも可能です。これにより、企業は競争力を高め、成長を加速させることができます。

 

アライアンスのデメリット

アライアンスには多くのメリットがある一方で、リスクとデメリットも存在します。信頼関係の構築は、アライアンスの成功に不可欠ですが、信頼が築かれない場合、協力関係が脆弱になる可能性があります。

また、情報漏洩のリスクも考慮する必要があります。企業間で機密情報を共有することで、意図せず情報が漏洩するリスクが高まります。

さらに、経営資源の制約もデメリットの一つです。アライアンスの管理に時間とリソースが割かれることで、他の重要な業務に影響が出る可能性があります。

 

アライアンスの成功事例とその秘訣

①プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)とウォルマート

アライアンスの成功事例として、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)とウォルマートの提携が挙げられます。P&Gは製品開発と供給チェーンの効率化に注力しておりました。そこで、ウォルマートとのアライアンスにより、小売とサプライヤーによる協調的予測・計画・補充のSCM(サプライチェーンマネジメント)を行い、その製品を効率良く大規模に流通させることが可能となりました。業務提携、技術提携の好事例と言えるでしょう。

また、この提携では、双方の企業が相互に補完しあい、P&Gの製品がウォルマート店舗で優先的に陳列されるなど、具体的な協力関係が形成された結果、売上げの増加に寄与しました。

②大黒屋とJTB

まったくの異業種間でのアライアンス事例として、大黒屋とJTBが挙げられます。「たんす資産かたつけ旅」という名称のアライアンスを実施し、顧客が大黒屋に持ち込んだ中古ブランド品の査定価格に10%上乗せし、「JTBトラベルポイント」として付与しました。 家に眠っていた「思い出の品」を「新たな旅行の機会」に変換するという斬新な試みです。

③マクドナルドとポケモン

販売提携での好事例は、「マクドナルド」の全店が、ポケモンGOの「ポケストップ」(ゲームに必要なアイテムを入手場所)または、「ジム」(キャラクター同士が対戦場所)になった事例でしょう。外食業界の歴史の中で、全く新しいマーケティング手段といえるこの手法のおかげで、マクドナルドは、休眠顧客の掘り起こしや新規顧客の獲得、リピート率の向上に成功。ポケモンGOは、ゲームに必要な「ポケストップ」「ジム」を一挙に整備できました。

これらの事例を分析すると、アライアンスの成功のためには、

・互いの強みを活かした相乗効果の創出

・明確な目標設定と役割分担

・顧客に新たな価値を提供する革新的なアイデア

・両社の文化や価値観の適合性

が重要であると考えられます。

 

まとめ

アライアンスとは、複数の企業や組織が共通の目標を達成するために協力するパートナーシップのことを指し、M&Aとの違いは経営権の移転がないことです。

アライアンスの種類は複数あり、これらを組み合わせてシナジーを生むことが可能であり、コスト削減、技術の発展の促進、新市場への進出を可能にしますが、デメリットとして、信頼関係構築の困難さ、情報流出のリスク、経営資源の制約が挙げれます。

 


執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 

株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。


 

M&Aに関するお役立ち記事の一覧はこちら

経験豊富なコンサルタントが理想のM&A成約を叶えます。

どのようなお悩みでも、経験豊富なM&Aのスペシャリストが在籍する
弊社が丁寧に対応いたします。

無料相談はこちら(秘密厳守)