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事業承継・引継ぎ支援センターとは?その役割とサポート内容を徹底解説
2024.09.09
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業や個人事業主の事業承継を円滑に進めるための公的な相談窓口です。本記事では、センターの基本情報、提供される支援内容、実際の事例、そして利用方法について詳しく解説します。
事業承継・引継ぎ支援センターとは
センターの設立目的
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の円滑な事業承継を支援するために設立された組織です。日本の経済を支える中小企業にとって、事業承継は経営の安定と発展、そして地域社会への貢献という観点から非常に重要な課題です。しかし、後継者不足や経営ノウハウの不足、相続問題など、事業承継には多くの困難が伴います。そこで、事業承継引継ぎ支援センターは、中小企業がスムーズに事業承継を実現できるよう、様々なサポートを提供しています。
提供される主なサービス
事業承継・引継ぎ支援センターでは、以下の様な多岐にわたるサービスを提供しています。
・事業承継に関する相談、アドバイス
・後継者探し、育成支援
・事業計画策定支援
・資金調達支援
・税務・法律相談
・M&A仲介
・研修・セミナー開催
・情報提供
これらのサービスを通じて、事業承継を成功に導くための総合的なサポートを提供しています。
全国の支援ネットワーク
事業承・継引継ぎ支援センターは、全国各地に拠点を持ち、地域密着型の支援体制を構築しています。そのため、地域特性や企業規模に合わせたきめ細かいサポートが可能です。また、各地域の専門家ネットワークとも連携することで、より高度な専門知識や経験を提供することもできます。
事業承継・引継ぎ支援センターの具体的な支援内容
親族内承継支援
親族内承継は、事業を家族内で引き継ぐ方法です。後継者がすでに決まっている場合や、家族経営を継続したい場合に適しています。事業承継・引継ぎ支援センターでは、親族内承継を円滑に進めるためのサポートとして、以下の様なサービスを提供しています。
・後継者育成支援
・事業計画策定支援
・相続対策支援
・家族間での話し合いサポート
親族間での事業承継は、感情的な問題や相続問題が複雑に絡み合うことが多いため、専門家のサポートが必要となります。
第三者承継支援
第三者承継は、親族以外の人に事業を引き継いでもらう方法です。後継者がいない場合や、事業を外部に譲渡したい場合に適しています。事業承継・引継ぎ支援センターでは、第三者承継を成功させるためのサポートとして、以下の様なサービスを提供しています。
・後継者探し
・事業評価
・譲渡条件交渉
・契約書作成
第三者承継は、事業の価値を適切に評価し、適切な相手を見つけることが重要です。事業承継・引継ぎ支援センターでは、豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、同センターが運営する「後継者人材バンク」も活用し、第三者承継をスムーズに進めるためのサポートを行います。
M&A支援
M&A(合併・買収)は、事業を他の企業に統合する方法です。事業を拡大したい場合や、経営資源を効率化したい場合に適しています。事業承継・引継ぎ支援センターでは、M&Aを成功させるためのサポートとして、以下のようなサポートを行います。
・譲渡の進め方のアドバイスや譲渡先の紹介。
・譲渡条件等のすり合わせや各種書類作成などに必要な専門家を紹介。
・事業承継・引継ぎ支援センターに登録された民間M&A仲介業者、金融機関等の民間M&A支援機関を紹介。
・紹介を受けた登録支援機関が、譲渡企業にマッチした譲受企業を紹介し、マッチング及び譲渡契約成約までを実施。
・事業承継・引継ぎ支援センターと商工会議所等の創業支援機関が連携し、後継者不在の企業と起業を希望する人材とのマッチングを行い、成約にいたるまで支援。
また、民間のM&A支援会社では取組みにくいケースでも、弁護士、税理士等の専門家と連携して成約に向けた継続支援を行います。また、全国47都道府県の支援センターとの情報共有も図っており、遠隔地間のマッチングにも対応可能です。
M&Aは、複雑な手続きや交渉が必要となるため、専門知識と経験が不可欠です。事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業診断士や金融機関OBなどのプロフェッショナルが、企業のニーズに合わせた最適なM&A戦略を立案。民間業者、金融機関等のネットワークも活用しながら、実行までサポートします。
事業承継の準備と進め方
事業承継の基本プロセス
事業承継は、以下の様な基本プロセスで進められます。
1.準備段階
・事業承継の必要性と目的を明確にする
・後継者候補を検討する
・事業の現状分析を行う
・事業承継計画を策定する
2.承継段階
・後継者への事業引き継ぎを行う
・必要な手続きを行う
・資金調達を行う
3. 移行段階
・後継者が事業を安定的に運営できるようサポートする
・事業承継後の体制を構築する
事業承継は、時間と労力を要するプロセスです。そのため、早いうちから準備を始めることが重要です。
後継者の選び方
後継者の選び方は、事業の将来を左右する重要な要素です。後継者を選ぶ際には、以下の様な点を考慮する必要があります。
・事業に対する熱意と能力
・経営手腕
・コミュニケーション能力
・倫理観
・健康状態
後継者候補が複数いる場合は、それぞれの能力や適性を見極め、事業に最適な人材を選ぶ必要があります。
事業承継計画の作成
事業承継計画は、事業承継をスムーズに進めるための指針となる重要なものです。事業承継計画には、以下の様な内容を盛り込む必要があります。
・事業承継の目的
・承継方法
・後継者
・承継時期
・承継後の事業計画
・資金計画
・税務対策
・リスク管理
事業承継計画は、事前にしっかりと作成しておくことで、事業承継を円滑に進めることができます。
まとめ
事業承継・引継ぎ支援センターの役割
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継を支援する重要な役割を担っています。専門知識や経験豊富なスタッフが、事業承継に関する様々な課題解決をサポートすることで、中小企業の安定的な事業承継を支援しています。
利用方法と問い合わせ先
事業承継引継ぎ支援センターの利用を検討されている方は、まずはお近くのセンターに問い合わせてみてください。センターのウェブサイトや電話で、相談窓口やサービス内容について詳しく知ることができます。 事業承継は、企業にとって大きな転換期です。事業承継引継ぎ支援センターのサポートを活用することで、スムーズで成功する事業承継を実現することができます。
執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏
株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。
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