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水平型と垂直型M&Aの違いとは?シナジー効果や成功事例を解説!
2024.09.07
M&A(合併・買収)は現代のビジネス戦略において非常に重要な手法の一つです。特に水平型M&Aと垂直型M&Aは、それぞれ特徴や目的が異なり、企業の成長戦略として選ばれています。本記事では、これらのM&Aの違いやシナジー効果、成功事例について詳しく解説します。
水平型と垂直型M&Aの基本
水平型M&Aの定義と特徴
水平型M&Aとは、同じ業界内、同じ事業分野の企業を統合する手法で、市場シェアの拡大や競争力の強化を目指します。
例えば、銀行同士の合併やなどが挙げられます。水平型M&Aでは、規模の経済効果や競争環境の改善による収益向上を目指します。
垂直型M&Aの定義と特徴
垂直型M&Aとは、バリューチェーンにおける異なる段階の企業を統合するM&A手法です。供給チェーンの効率化や統制力の向上を目的としています。
例えば、自動車メーカーが部品メーカーを買収したり、小売業者が物流会社を買収したりするケースが挙げられます。垂直型M&Aでは、自社の事業プロセスを強化し、競争優位性を築くことを目指します。
垂直型M&Aでは、当事会社のことをそれぞれ川上会社、川下会社と呼ぶことがあります。川上か川下かは、それぞれの会社の市場の段階で分類され、上記例では、部品を自動車会社に販売する部品メーカーが川上会社、自動車会社が川下会社となります。
水平型と垂直型M&Aの目的とシナジー効果
水平型M&Aの目的とシナジー効果
水平型M&Aでは市場シェアの拡大、競争力の強化、スケールメリットの獲得が主な目的です。これにより、競争優位性を高めることができます。
例えば、銀行同士の合併により、顧客基盤の拡大、営業網の強化、コスト削減などが期待できます。また、金融商品の開発や提供の効率化、顧客サービスの向上にもつながります。
垂直型M&Aの目的とシナジー効果
垂直型M&Aは、取引段階の異なる会社がM&Aするので、直接的に市場シェア合算されることはありません。もっとも、企業はサプライチェーンの安定化、コスト削減、製品ラインの強化を実現できます。これにより、全体的な業務効率を向上させるシナジー効果が期待されます。
例えば、自動車メーカーが部品メーカーを買収することで、部品調達の安定化、コスト削減、品質管理の向上などが期待できます。また、製品開発のスピードアップや、新製品の開発にも貢献できます。
水平型と垂直型M&Aの成功事例
水平型M&Aの成功事例
2017年のENEOSで知られるJXホールディングスと東燃ゼネラル石油との統合は、水平型M&Aの成功例です。この統合により、日本最大の石油供給会社が誕生し、業界内の競争力を大幅に強化しました。JXホールディングスは、東燃ゼネラル石油との統合により、市場シェアを拡大し、競争力を強化しました。また、スケールメリットによるコスト削減も実現しています。
参考 JXホールディングス「東燃ゼネラル石油株式会社との 経営統合に関するご案内」
その他にも、冒頭にあげた銀行同士の合併だけでなく、コンビニ業界では、ファミリーマートとサンクス、ビックカメラとコジマ、コロワイドと大戸屋の合併も水平型M&Aの事例となります。
垂直型M&Aの成功事例
Apple社は、垂直型M&Aを積極的に行っています。2013年には3Dモーションセンサーを手掛けるイスラエルのPrimeSense社をM&Aで統合。2014年には会員制のストリーミングミュージックサービスを提供するBeats Music社、ヘッドフォンやスピーカーを製造するBeats Electronics社を買収しました。M&Aにより他社が持つ優れた技術を取り入れ、新しい製品の開発やコストダウン等につなげています。
その他には、業務用のスーパーマーケットを運営している神戸物産は、レストラン経営を行っているシンガポールのWIZ JOINT PTEを垂直型M&Aで統合し、海外レストラン事業の強化を図っています。
水平型と垂直型M&Aの選択ポイント
目的に応じたM&A手法の選択
企業がどのような目的を持ってM&Aを行うかによって、水平型か垂直型どちらが適しているかが決まります。企業戦略を明確に定義し、それに基づいた手法を選択することが重要です。
例えば、市場シェアの拡大や競争力の強化を目的とする場合は、水平型M&Aが適しています。一方で、サプライチェーンの安定化やコスト削減を目的とする場合は、垂直型M&Aが適しています。
統合プロセスとPMIの重要性
M&A後の統合プロセス(PMI:Post MergerIntegration)が成功の鍵となります。計画的かつ迅速な統合を行うことで、シナジー効果を最大限に引き出すことができます。PMIでは、両社の文化やシステムの統合、従業員のモチベーション維持、経営統合など、様々な課題を克服する必要があります。
M&A専門家の活用
M&Aの複雑さを考慮し、専門家の助けを借りることが成功への近道です。適切なアドバイザーを選ぶことで、計画から実行までをスムーズに進めることができます。M&A専門家は、企業の戦略策定、ターゲット企業の選定、交渉、デューデリジェンス、PMIなど、M&Aプロセス全体をサポートします。
まとめ
垂直型と水平型M&Aの違いを理解し、企業戦略に応じた選択を行うことが重要です。それぞれのM&A手法が持つ特徴やシナジー効果を活かし、企業の成長を実現しましょう。M&Aは、企業にとって大きな転換期であり、成功には綿密な計画と実行が必要です。専門家の力を借りながら、慎重かつ戦略的にM&Aを進めることが重要です。
執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏
株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。
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