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ノンネームシートとは?その役割や記載内容から注意点まで徹底解説!

2024.09.07

ノンネームシートとは何か、M&Aにおけるその重要性や具体的な役割について詳しく解説します。この記事を通じて、ノンネームシートの基本的な知識と活用方法が理解できるでしょう。

 

ノンネームシートとは何か

ノンネームシートの基本概念

ノンネームシートは、M&Aにおいて事前に譲渡企業の基本情報を匿名で提示するためのシートです。M&A交渉の初期段階においては、譲渡企業の機密情報の漏洩を防ぐため、自社の詳細な情報を公開する前に、潜在的な買収者に対して譲渡企業の概要を匿名で伝えるために使用されます。

M&Aの基本的な流れについては、「M&Aの基本的な流れを分かりやすく解説!専門業者や相談先についても紹介!」の記事を参照ください。

ノンネームシートと企業概要書の違い

企業概要書(インフォメーションメモランダム)は、M&A交渉の際に譲渡企業が提供する詳細な情報が記載された文書です。一方、ノンネームシートは、企業概要書よりも簡潔な情報のみを記載し、譲渡企業の匿名性を保つことを目的としています。企業概要書には、財務諸表、事業計画、経営陣の経歴など、詳細な情報が含まれるのに対し、ノンネームシートには、企業名、事業内容、売上高、従業員数などの基本的な情報のみが記載されます。

企業概要書(インフォメーションメモランダム)については、 「インフォメーションメモランダムとは?作成方法とポイントを解説!」の記事を参照ください。

 

ノンネームシートの役割

M&A交渉の初期段階における役割

ノンネームシートは、M&A交渉の初期段階での情報開示をスムーズにする役割を果たします。譲渡企業は、ノンネームシートを通じて、潜在的な買収者に自社の概要を匿名で伝えることで、詳細な情報開示の前に興味のある買収者を絞り込むことができます。これは、譲渡企業にとって、貴重な時間とリソースを無駄にしないために重要な役割を果たします。

匿名性の確保と情報の保護

ノンネームシートは、譲渡企業の匿名性を確保し、機密情報の漏洩を防ぐ役割も担います。M&A交渉の初期段階では、譲渡企業は、自社の詳細な情報を公開することに抵抗感を持つ場合があります。ノンネームシートは、このような状況において、譲渡企業が匿名性を保ちながら、潜在的な買収者に自社の概要を伝えることを可能にします。これにより、譲渡企業は、機密情報の漏洩リスクを最小限に抑えながら、M&A交渉を進めることができます。

 

ノンネームシートに記載する内容

企業によって異なりますが、以下の事項についてA4用紙一枚にまとめて提出することが一般的です。

企業概要

ノンネームシートには、企業の基本的な概要が記載されます。

具体的には、企業名(匿名)、事業内容、設立年月日、従業員数、主要取引先、主要製品・サービスなどが含まれます。これらの情報は、潜在的な買収者が譲渡企業の事業内容や規模を把握するために必要となります。

財務情報

ノンネームシートには、具体的な数字は含まず、全体的な財務状況の概要を示します。売上高、営業利益、純利益などの主要な財務指標を、具体的な数値ではなく、概算値やレンジで示すことが一般的です。これは、譲渡企業が詳細な財務情報を公開する前に、潜在的な買収者に自社の財務状況を概観してもらうことを目的としています。

譲渡希望条件

ノンネームシートには、譲渡希望額や条件など、譲渡に関する基本情報が含まれます。譲渡希望額は、具体的な金額ではなく、レンジで示される場合が多いです。また、譲渡条件として、従業員の雇用継続、事業の継続など、譲渡企業が求める条件が記載されることもあります。

 

ノンネームシートの注意点

正確な情報提供

譲渡企業は、ノンネームシートに記載する情報は正確で最新のものであることを確認する必要があります。誤った情報や古い情報が記載されている場合、潜在的な買収者の信頼を失う可能性があります。また、仲介会社は、譲渡企業から提供された情報を正確に理解し、潜在的な買収者に伝える必要があります。

適切な提出先の選定

ノンネームシートの提出先は慎重に選ぶ必要があります。信頼できる仲介会社を通じて、潜在的な買収者にノンネームシートを提出することが重要です。信頼できない仲介会社にノンネームシートを提出した場合、機密情報が漏洩するリスクがあるからです。また、ノンネームシートを提出する際には、潜在的な買収者の企業規模や事業内容などを考慮し、適切な相手を選ぶ必要があります。

ノンネームシート以上の情報開示について

譲受企業は、ノンネームシート以上の情報が開示されないことを理解しておくことが重要です。ノンネームシートは、あくまでも譲渡企業の基本的な情報を匿名で提示するためのシートであり、詳細な情報は、M&A交渉が進んでから開示されます。譲受企業は、ノンネームシートに記載されていない情報について、譲渡企業に問い合わせることはできますが、必ずしもすべての情報が提供されるとは限りません。ノンネームシートの開示後、実際にM&Aを進める場合には「ネームクリア」という手続きによって、会社名やより詳しい企業情報を開示することになります。

ネームクリアについては、、「ネームクリアとは?M&Aにおける目的や注意点について解説!」の記事を参照ください。

 

まとめ

ノンネームシートは、M&Aの初期段階で重要な役割を果たし、情報の保護と交渉のスムーズな進行に重要な役割を果たします。ノンネームシートを活用することで、譲渡企業は、ノンネー、匿名性を保ちながら、潜在的な買収者に自社の概要を伝えることができ、譲受企業は、ノンネームシートを通じて、譲渡企業の基本的な情報を把握し、M&A交渉を進めるかどうかを判断することが可能となります。

 


執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 

株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。


 

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