Knowledge M&Aお役立ち記事

M&Aのプロジェクトマネジメントとは? 基本知識や重要なポイントを解説!

2024.09.07

M&Aプロセスにおいて、プロジェクトマネジメントは重要な役割を果たします。この記事では、その基本知識から方法、そして具体的な活用事例まで、包括的に解説します。特に、初めてプロジェクトマネジメントを行う方や、円滑なM&Aを目指す方にとって有益な情報を提供いたします。

 

M&Aにおけるプロジェクトマネジメントの基礎知識

プロジェクトマネジメントとは何か?

M&A(Mergers andAcquisitions)におけるプロジェクトマネジメントは、M&Aプロセスに関わる、プロジェクトの進捗状況を把握し、コスト管理を行い、関係者間のコミュニケーションを円滑するために行います。プロジェクトマネジメントは、M&Aの各段階における作業内容、時間、担当者などをスプレッドシート等で詳細に記録することで、プロジェクト全体の効率性と透明性を高めます。

なぜプロジェクトマネジメントが重要なのか

M&Aプロセスは、複雑で多岐にわたる作業を伴うため、適切な時間管理が非常に重要です。プロジェクトマネジメントを適切に行うことで、以下のメリットが得られます。

1.コスト管理の精度向上:各作業にかかった時間を正確に記録することで、M&Aにかかる工数を正確に把握することができます。これにより、社内のリソース調整の精度を高め、無駄なコスト発生を防ぐことができます。

2.プロジェクト進捗の可視化:各作業の進捗状況の把握をリアルタイムで行います。これにより、プロジェクト全体の進捗状況を可視化し、遅延や問題発生を早期に発見することができます。

3.関係者間のコミュニケーション促進:適切なプロジェクトマネジメントを行うことで、関係者間で作業内容や時間配分に関する情報を共有します。コミュニケーションの円滑化を図り、誤解やトラブルを防止することができます。

4.法的・会計上の証拠:タイムシートは、M&Aプロセスにおける作業内容や時間配分に関する法的・会計上の証拠として活用できます。これは、将来発生する可能性のある紛争やトラブルを回避するために重要です。

プロジェクトマネジメントに必要なツールの種類と構成

M&Aにおけるプロジェクトマネジメントに必要なツールは、その目的や対象によって様々な種類があります。代表的なツールの種類と構成要素は以下の通りです。

1.プロジェクト全体管理シート:M&Aプロジェクト全体の進捗状況を把握するためのシートです。プロジェクト開始から完了までのすべての作業内容、時間、担当者などを記録します。

 -項目例: プロジェクト名、作業内容、開始日、終了日、作業時間、担当者、費用、備考

2.タスク別管理シート:特定のタスクや作業内容に焦点を当てたシートです。タスクの進捗状況や時間配分を詳細に記録します。

 – 項目例:タスク名、作業内容、開始日、終了日、作業時間、担当者、費用、備考

3.担当者別管理シート:特定の担当者の作業時間や活動内容を記録するためのシートです。担当者の業務負荷や貢献度を把握することができます。

 – 項目例:担当者名、作業内容、開始日、終了日、作業時間、費用、備考

4.費用別管理シート:M&Aにかかる費用を項目別に記録するためのタイムシートです。費用発生状況を把握し、予算管理を行うことができます。

 – 項目例:費用項目、発生日、金額、担当者、備考

上述の通り、管理シートを作成し、プロジェクトマネジメントを行いますが、各シートの構成要素は、M&Aの規模や内容、企業のニーズによって異なります。必要に応じて項目を追加したり、変更したりすることができます。

 

プロジェクトマネジメントの管理シート作成手順

事前準備と必要要素

管理シートを作成する前に、以下の事前準備を行うことが重要です。

1.M&Aプロジェクトの目標と範囲を明確にする:管理シートを作成する目的を明確にすることで、必要な項目や記録内容を決定することができます。

2.M&Aプロセスを詳細に分析する:M&Aプロセスを段階的に分析し、各段階における作業内容や時間配分を把握します。

3.関係者との役割分担を明確にする:各担当者の役割分担を明確にすることで、管理シートの記録内容を統一することができます。

4.管理シートのフォーマットを決定する:記録する項目や時間単位などを事前に決定し、統一されたフォーマットを作成します。

具体的な作成ステップ

管理シートの作成は、以下のステップで行います。

1.作業内容を詳細に記録する: 作業内容を具体的に記述し、誤解がないように明確な表現を用います。

2.開始時間と終了時間を正確に記録する:作業開始時間と終了時間を正確に記録し、休憩時間やミーティング時間なども含めます。

3.作業時間単位を統一する:時間単位を統一することで、データの分析や比較を容易に行うことができます。

4.担当者を明確に記載する:作業を担当した者を明確に記載することで、責任の所在を明確にし、コミュニケーションを円滑化することができます。

5.費用情報を記録する:作業にかかった費用を記録することで、コストや社内のリソースの管理を行うことができます。

6.備考欄に補足情報を記載する:必要に応じて、作業内容や時間配分に関する補足情報を備考欄に記載します。

7.定期的に管理シートを確認する:作成した管理シートを定期的に確認し、必要に応じて修正や追加を行います。

 

プロジェクトマネジメントの実務的ポイント

効果的なプロジェクトマネジメントの方法

プロジェクトマネジメントを円滑に行うためには、以下のポイントを意識することが重要です。

1.リアルタイムで把握する:作業内容や時間をリアルタイムで把握することで、記憶違いや抜け漏れを防ぐことができます。

2.管理シートへの詳細な記録を心がける:作業内容を具体的に記述することで、後から振り返った際に内容を理解しやすくなります。

3.担当者を明確にする:担当者を明確にすることで、責任の所在を明確にし、コミュニケーションを円滑化することができます。

4.定期的に確認・分析する:作成した管理シートを定期的に確認し、作業時間や費用などを分析することで、改善点を見つけることができます。

5.関係者間で共有する:管理シートを関係者間で共有することで、プロジェクトの進捗状況やコスト状況を把握することができます。

プロジェクトマネジメントで回避すべきミス

プロジェクトマネジメントにおいて起きやすいミスがあるので以下の点に注意して作成するようにしましょう。

1.管理シートへ記録漏れ: 作業内容や時間を記録し忘れないように注意が必要です。管理者が日次で各担当者へリマインドする等のモニタリングが必要です。

2.担当者名の未アサイン: 各タスクに担当者をアサインし忘れないように注意が必要です。担当者を明確にして、各タスクの責任を持たせることが、プロジェクトマネジメントにおいて重要です。

3.管理シートの共有忘れ:作成した管理シートを関係者間で共有し忘れないように注意が必要です。

4.管理シートの管理不足:作成した管理シートを適切に管理し、紛失や破損を防ぐ必要があります。管理者は、バックアップファイルを作成する等の対策を行うとともに、頻繁に、管理シートを確認しましょう。

 

まとめ

M&Aにおけるプロジェクトマネジメントは、関係者やタスクが多岐に渡るほか、企業の経営戦略にとって重要な投資プロジェクトとなるため、プロジェクトの進捗状況を把握し、コスト管理を行い、関係者間のコミュニケーションを円滑にすることが非常に重要です。

今後、M&Aはますます複雑化していくことが予想されます。そのため、プロジェクトマネジメントの重要性はますます高まります。管理シートを適切に作成し、管理することで、M&Aプロセスを効率的に進め、目標達成に近づけることができます。

本記事では、M&Aにおけるタイムシートの基礎知識から、作成手順、活用ポイント、事例紹介まで、幅広く解説しました。

 

 


執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 

株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。


 

M&Aに関するお役立ち記事の一覧はこちら

経験豊富なコンサルタントが理想のM&A成約を叶えます。

どのようなお悩みでも、経験豊富なM&Aのスペシャリストが在籍する
弊社が丁寧に対応いたします。

無料相談はこちら(秘密厳守)