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サンマルクによる牛カツ定食業態「京都牛勝」運営のジーホールディングス買収を解説
2024.10.07
2024年10月4日、株式会社サンマルクホールディングスは、牛カツ定食業態の「京都勝牛」を運営するジーホールディングス株式会社を子会社化することを発表しました。本買収について、両社の概要とその目的について解説いたします。
目次
株式会社サンマルクホールディングスについて
サンマルクホールディングスの概要と沿革
サンマルクホールディングスは、カフェ業態「サンマルクカフェ」やパスタ業態「鎌倉パスタ」を運営する大手飲食チェーンです。
沿革は以下の通り。
年月 | 沿革 |
1989年3月 | 創業 |
1990年7月 | 社名をサンマルクの変更 |
2002年7月 | 東証2部に上場 |
2004年10月 | スパゲティ店「鎌倉パスタ」1号店を開店 |
2007年12月 | 「神戸元町ドリア」1号店を開店 |
2008年8月 | 「倉敷珈琲店」1号店を開店 |
2022年12月 | 「喫茶マドラグ」4店舗を展開するLa Madrague(京都市)を子会社化 |
2024年3月末時点のグループ全体の店舗数は793店舗。うち、主要業態の「サンマルクカフェ」が333店舗、第2の柱の業態である「鎌倉パスタ」が195店舗となっています。
サンマルクホールディングスの業績
2024年3月期の決算は、コロナ禍の影響の緩和とコストコントロールにより、売上高645億円(前期比+67億円)、営業利益26億円(+23億円)と増収増益を記録。今後、より攻めの経営に舵を切っていくものと思われます。
ジーホールディングス株式会社について
ジーホールディングスの概要と沿革
ジーホールディングス株式会社は2017年に設立。
飲食店の企画、経営を行う株式会社ゴリップ(京都市)及び株式会社OHANA(愛知県刈谷市)を子会社化しており、これらの子会社を通じて、牛カツ定食業態の「京都勝牛」、カフェ業態の「NICK STOCK」等の飲食ブランドを展開しています。
2024 年7月末時点で、各ブランド合わせて、直営店舗 74店舗、FC店舗 43 店舗の他、他社FC店舗2店舗を運営しており、特に牛カツ業態は、インバウンド観光客の取り込みや海外展開に強みを持っており、今後も安定的な成長が期待される分野です。
ジーホールディングスの業績
2024年7月期の売上高は92億円(前期比+20億円)、営業利益12億円(前期比+9億円)と急速に事業を拡大しています。これに加え、純資産も56億円まで積み上げており、経営的にも安定しているものと考えられます。
M&Aの概要・目的
M&Aの概要
ジーホールディングスの株式100%を取得予定。取得価格は、普通株式110億円、アドバイザリー費用等(概算)2億円。株式譲渡実行日は2024年11月中旬を予定しています。
2024年10月4日株式会社サンマルクホールディングス開示資料参照「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
M&Aの目的
サンマルクの中期経営計画によると、2029年3月に売上高800億円、営業利益65億円を目標としています。2026年3月期まではその体制つくりを行う方針で、既存業態のバリューアップや運営効率の改善に加え、カフェ、パスタに次ぐ「第3のブランド確立」を重点施策とし、多角化戦略を推進しています。
今回の牛カツ定食業態のM&Aに関し、サンマルク側としては、インバウンド観光客の取り込みや海外進出の強化を見込むことが出来ること、
ジーホールディングス側としては、サンマルクが有する商業施設等の物件情報や出店ノウハウの活用、DX支援及び物流網の共有により、コストダウンの実現が見込まれます。
なお、2024年11月19日に、「牛かつもと村」運営企業の買収を発表いたしました。以下の記事も是非ご参考ください。
執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏
株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。
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