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SESにおける案件商流について解説!プライム案件と商流の深い案件の違いとは?

2024.09.13

SES(システムエンジニアリングサービス)業界での商流ついて詳しく解説します。本記事ではSES商流の基本概念やプライム案件商流の深い案件のデメリットなどについて詳しく解説します。

目次

SESの商流とは何か

業界全体の商流

SES業界には、大きく分けて「発注企業」「SIer」「SES会社」「エンジニア」の4つのプレイヤーが存在します。発注企業は、システム開発や運用などのIT関連業務を外部に委託したい企業です。SIer(システムインテグレーター)は、発注企業からシステム開発や運用などの業務を受注し、プロジェクトを管理します。SES会社は、SIerから受注したプロジェクトに必要なエンジニアを派遣します。エンジニアは、SES会社から派遣され、SIerの指示に従ってプロジェクトに従事します。

SES業界の商流の深浅

SES業界では、プライム案件(1次請案件)→2次請案件→3次請…と順に商流が深くなっていきます。必ずしも商流の浅い案件が優れているとは限りませんが、相対的なメリットが大きいと考えている企業・エンジニアは多いでしょう。

SESにおける商流の特徴

SESにおける商流の特徴として、以下のような点が挙げられます。
* 多層構造:発注企業からエンジニアまで、複数の企業が関わるため、商流が複雑になりがちです。
* 中間マージン:各企業が利益を確保するため、中間マージンが発生し、エンジニアに支払われる報酬が低くなる可能性があります。
* 責任の所在:プロジェクトの責任が、発注企業、SIer、SES会社、エンジニアのいずれにあるのか、明確でない場合があります。
これらの特徴は、SES業界の課題として認識されており、近年では、発注企業とエンジニアを直接繋ぐサービスや、エンジニアの報酬を改善するための取り組みが進められています。

 

プライム案件とは

プライム案件とは、発注企業から直接受注した案件のことです。SESにおいては、SIerを介さずに発注企業と直接契約を結ぶため、中間マージンが発生せずエンジニアに支払われる報酬も高くなる可能性があります。また、発注企業との直接的なやり取りを通して、プロジェクトの責任や進捗状況を明確に把握することができます。プライム案件を指して一次請けやエンド案件と呼ぶこともあり、仲介企業を1社介した二次請け案件などは「商流が浅い」案件と言われます。

プライム案件へ参画することのメリット

利益率が高い

特にプライム案件は下請け案件と違って仲介業者がいないため、手数料や紹介料を中抜きされることがありません。そのため必然的に利益率が高くなります。

チーム体制で仕事ができる

直で受けている案件なので、自社から複数名の人員を送り込みやすくなります。チーム体制で仕事ができるので、エンジニアの自社への帰属意識の向上を見込めます。また、自社の社員同士で仕事を割り振ることもできるため、少人数で常駐する場合と比べて、仕事の効率も上がりやすい傾向があります。

プライム案件へ参画することのデメリット

前述の通り、プライム案件(プライム案件を持つ企業)には数多くのメリットがございますが、デメリット呼べるものも存在します。それは、責任が重くなるケースが多いという点です。プライム案件ではお客様から直接仕事を請け負うことになります。そのため、プロジェクトの進行や成果物の品質にも責任を持つ必要が発生します。ケースバイケースではありますが、SESで一般的な準委任契約ではなく、請負契約となることもあり、その場合は請負った企業がシステム開発を一手に担うことになります。準委任ではなく請負契約であることで「瑕疵担保責任」が発生するため、何か納品物に不備があれば巨額の賠償も負いかねないリスクが生じます。

 

プライム案件を持つ企業の特徴

還元率(給与水準)が高い

前述の通り、プライム案件は利益率が高い為、所属エンジニアへの還元率を高くすることもしやすくなり、給与水準のUPにもつながります。

発注企業とのコネクションがある

良質なプライム案件を多く有している企業は、発注元の企業と太いコネクションがあるケースがあります。そのような強いコネクションがある場合、SES案件を取ってくる営業活動の工数も削減できます。営業活動の工数を減らすことは本社人件費の削減にもつながり、企業の利益率を高めることが可能となります。
ただし、特定企業からの案件にのみ依存しすぎている場合、何らかの理由でその発注元から仕事がもらえなくなった際にリスクが生じるため、そこへの備えもを用意しておくことが重要です。

良質なBPとアライアンスを結べる

様々なメリットのあるプライム案件へ自社エンジニアを参画させたいと考えているSES企業は多く、同様に、商流の浅い案件へ参画したいと考えているSESエンジニアも少なくありません。そのため、プライム案件を抱えている企業には多くの協業依頼が入ります。エンジニア不足が深刻化している昨今において、多くのエンジニアを抱えているSES企業との協業は、案件を持つ企業側にとってもメリットが大きいため、自然と良い関係を築ける可能性も高まるでしょう。

営業力が高い

高い営業力を持つ企業であれば、良質なプライム案件を自ら獲得することも可能となります。また、営業力があるということは保有案件数の拡大にも繋がりますので、エンジニアが希望の現場に行きやすくなるというメリットもあります。

 

SESにおける「商流が深い」とは

商流が深いとは、SES案件において複数の仲介業者が介在している状況を指します。4次・5次請以降の案件を指して言われることが多いです。

商流が深いことのメリット

成果物に対する責任を負わない

成果物の納品に対しての責任は、元請け企業が担います。一方で、下流の下請け企業は技術力を提供するという契約(SES契約)のため最終的な成果物への責任を負うことはありません。SES企業にとっては、プロジェクトがうまくいかなかった場合などに責任が降りかかることがないため、売上を伸ばしながらもリスクの少ない事業形態となります。

SES企業間の相互互助

リソースの限られたSES企業にとって、多重請負の案件は企業同士の相互互助としての役割を果たしている側面もあります。自社のエンジニアだけでなく、他社(BP)のエンジニアも紹介できるため、回ってきた案件を取りこぼさずにアサインすることができます。保有案件数が少ない企業にとって、自社エンジニアの待機発生率を抑えることにも繋がるでしょう。

商流が深いことのデメリット

中抜きによる影響

仲介企業からの「中抜き」が発生するため、企業への対価ひいてはエンジニアの給与に減少する可能性が高まります。単価アップ(給与アップ)しにくい多重構造に、悩まされているSESエンジニアは少なくありません。
また、ただ案件を横流しするだけの、生産性を欠いた中抜き企業の存在はSES業界における課題の一つと言えるでしょう。

モチベーション低下・スキルアップの機会が少ない

下請け企業から参画したエンジニアがクライアントとの打ち合わせなどに参加するケースは多くありません。そのため、仕様の要求事項を深く理解することが困難になり、上から流されてきた仕事をこなすだけになりがちです。その結果、モチベーションの低下やスキルアップへの機会を損なうことにも繋がります。

 

まとめ

SES市場における成功する商流の浅い・深いは、企業の利益に直結するだけでなく、所属エンジニアのキャリアにも関わってきます。双方にメリットとデメリットがありますので、企業の規模やフェイズに適した案件を獲得していくことが重要です。

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執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ SESコンサルタント 松下 京平 

当時IT業界は未経験だったものの、約2ヶ月で400社を超える企業との提携関係の構築に加え、50名以上の自社エンジニア全員の営業を担当。2023年に人事担当へ転向後、主にエンジニア採用業務へ従事し、年間で約100名の経験者エンジニアの採用を実現。
SES企業の成長に関わる広範な業務を、一貫して現場主義で対応し、早期の黒字化を実現。


 

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