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M&Aにおける税理士の役割とは?相談するメリットや依頼するポイントなどを解説!

2024.11.26

M&Aのプロセスは、法務、財務、税務など、検討する課題が多く複雑であり、専門知識が必要となります。昨今、大企業だけでなく中小企業のM&Aの件数も増えており、その専門性を必要とされるケースがより増えています。本記事では、M&Aにおいて税理士が果たす役割やその業務について解説します。

 

目次

M&Aにおける税理士の主な役割

税理士がM&Aにおいて果たす主な役割は、①デューデリジェンスと②バリュエーションの二つあります。

税理士が対応するデューデリジェンスとは?

M&Aのプロセスにおいて、デューデリジェンスとは、譲受企業が、譲渡企業の価値やリスク等を調査することを言います。デューデリジェンスは、ビジネス面のデューデリジェンスだけでなく、専門家の協力のもと、法務デューデリジェンス、財務デューデリジェンス、税務デューデリジェンスを行います。税理士は、この中で税務デューデリジェンスを担当し、譲渡企業様の税務リスクの確認を行います。

参考記事「デューデリジェンスとは?M&Aの成功を確実にするための方法

税理士が対応するバリュエーションとは?

譲渡企業の株式譲渡価格を算出することは、M&Aのプロセスの中でもっとも重要なものの一つです。バリュエーションには、会計知識や税務知識がもとめられるだけでなく、譲渡企業様、譲受企業様双方にとって適切かつ公正な価格を算出することが求められます。そのため、高度な専門性を持つ税理士がバリュエーションのプロセスで必要とされます。

参考記事「企業価値・株式価値・事業価値の違いとは?それぞれの算出方法の違いを解説!

 

M&Aにおいて税理士に相談するメリット

M&Aにおいて、税理士は、上述のデューデリジェンス、バリュエーションに加え、税理士の本業である税務申告や税務面のアドバイスなどの面でサポートを行います。税務のプロである税理士のサポートは、企業にとって大きなメリットがあります。

M&Aにおける税務申告

M&Aを実施した年度の税務申告は、例年に加えてM&Aに関連する税務処理が必要となります。譲渡企業にとっては、株式譲渡の場合、株主の株式譲渡益に対する課税、事業譲渡の場合は、課税取引となるため、消費税の計算や譲渡益に対する法人税の計算が必要となります。譲受企業にとっても、のれんの計算や償却など論点が多いため、専門性が高い税理士に相談するメリットは大きいと言えるでしょう。

M&Aにおける税務面のアドバイス

M&Aにおいて、譲渡企業にとっては譲渡金額の手取りは大きく、譲受企業にとっては投資金額は小さいほうが、双方にとってメリットが大きくなります。そのため、税負担がより小さくなるM&Aのスキームを策定することが重要です。例えば、株式譲渡スキームにおいて、役員退職慰労金を活用することで、税負担の軽減が可能となります。この際、役員退職金の金額が適切か否か論点となりますので、税理士からアドバイスをもらうことは重要です。

参考記事「役員退職慰労金とは?税務上の取り扱い・計算方法・M&Aでの活用方法等について解説します!

その他にも、組織再編を行う場合、税負担を軽減のため、税制適格組織再編の要件を満たすようアドバイスをするケースもあります。

 

M&Aで税理士に依頼するポイント

税理士への確認

税理士は、税務に関する高い専門知識を持っておりますが、それぞれ今までの実務経験によって得意領域があるため、すべての税理士がM&Aに関する税務の経験やスキルを持っているわけではありません。M&Aは、税理士さんが行う税務申告の知識だけでなく、様々な知識、ケーススタディ、実務経験が必要となります。そのため、事前に自社の顧問税理士がM&Aに詳しいか確認することをお勧めします。

M&Aに詳しい税理士を探す方法

各税理士事務所のホームページを確認するなどして、M&Aに関する税務に対応しているかチェックすることが重要です。その他にも、中小企業庁が設立したM&A支援機関登録制度に登録している税理士を選ぶこともお勧めです。

参考記事「M&A支援機関登録制度とは? 制度の詳細と中小M&Aガイドライン第3版について解説!

その他の確認事項

料金や報酬体系については、レーマン方式による成功報酬制、月額報酬制、着手金の有無など、各税理士それぞれであるため、事前に確認が必要です。

その他にも、円滑にコミュニケーションが取れるか等のポイントもあるため、以下の記事を参考にしてください。

参考記事「税理士の失敗しない探し方とは?基礎知識や探し方のチェックポイントを優しく解説!」

 

税理士かM&A仲介会社どちらに相談すべきか?

相談しようとしている税理士がM&Aの知識と経験がある場合は、相談することをお勧めします。税理士に相談する場合、譲渡企業、譲受企業どちらか一方のアドバイザーになるケースがほとんどです。そのため、依頼者の利益最大化のために動いてくれるため、彼らのアドバイスは信頼しやすいです。

一方、M&A仲介会社は、譲渡企業と譲受企業の双方からの依頼で動きます。M&Aの成立を重要視するビジネスモデルのため、譲渡企業、譲受企業の幅広いネットワークを有し、マッチング力が強いことが特徴です。

参考記事 「M&A仲介とは?活用するメリット、選ぶ際のポイント、FAとの違いについて解説!」

「M&Aの相手先が見つからない」「早期にM&Aを成立させたい」という場合、マッチングに強いM&A仲介会社に依頼するケースが多いです。その中でも、専門家のアドバイスを得たい場合、バリュエーションに関するセカンドオピニオン、デューデリジェンス、税務顧問として案件全体のアドバイスを税理士に依頼するといった方法もお勧めです。

 

まとめ

M&Aのプロセスは、複雑で高度な専門知識が必要とされます。そのため、様々な場面で専門家に依頼することは、M&Aを成功させるためにとても重要です。

法務面においては弁護士に、税務面では税理士への相談が一般的です。M&Aのプロセスの中で重要なバリュエーションやデューデリジェンスについて、税理士への依頼することがお勧めです。

 


執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 

株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。


 

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