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ヒューリックによるレーサムに対するTOBについて解説!

2024.09.22

2024年9月13日に、ヒューリックによるレーサムに対するTOBが発表されました。両社の概要と本TOBの目的等について解説します。

目次

ヒューリック株式会社の概要

1957年に設立。設立当初は、富士銀行(現みずほ銀行)の店舗管理業務、保険代理店業務等を行ってましたが、その後、都心の駅近に多くのオフィスビルや賃貸マンションを保有する等事業を拡大。現在は、オフィスビル・マンションだけでなく、ホテル・旅館事業も手掛け、不動産の所有・賃貸・売買ならびに仲介業務を行う総合不動産業のトップ企業となりました。

2024年5月には、教育事業大手の株式会社リソー教育とTOBにより子会社し、更なる事業の多角化を推進しています。

参考 2024年5月28日ヒューリック株式会社 リリース「株式会社リソー教育株式(証券コード:4714)に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ

 

レーサム社の概要

1992年設立。収益不動産による資産運用と資産形成コンサルティングを目的にレーサムリサーチとして設立し、2008年に現社名に変更。2001年に店頭登録した後、ジャスダック証券取引所や大阪証券取引所JASDAQ市場、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場などを経て、2022年に東京証券取引所スタンダード市場に移行。同社の強みは、不動産価値の最大化を行うバリューアッドのノウハウであり、具体的には、自らオーナーとなり用途変更や大規模改修、新たなテナント誘致などを行う「資産価値創造事業」、賃貸管理や建物管理業務などを行う「資産価値向上事業」、コミュニティホステル、高度医療専門施設の運営や非常用電源開発などを行う「未来価値創造事業」を事業の柱としております。

同社によると、2025年3月期は、売上高1,150億円(前年度比22.0%増)、営業利益230億円(同0.8%増)と増収増益の見込みであり、事業は堅調に推移しております。

 

M&Aの概要・目的

今回、TOB(株式公開買い付け)によって、レーサムの約36%の株式を取得し、その後、オアシス・マネジメントが保有する約64%のレーサム株を買い取る想定。

TOBの買付代金は最大613億9200万円、オアシス・マネジメントからの株式取得価格は約1,086億円。その他関連債権を合わせた買収総額は約1735億円となり、ヒューリックの過去M&Aの中で最大規模となります。

TOBについては、「TOBとは?株式公開買付け(Takeover Bid)の基本概念や事例まで解説!」の記事をご参考ください。

M&Aの目的は、以下の3点となります。

①ヒューリックが持つ物件情報と、レーサム社が持つ幅広いアセットクラスに対応可能なバリューアッドノウハウの相互活用によるシナジー。

②両社の取引先ネットワークの相互紹介によるエグジット先の拡大とエグジット戦略柔軟化。

③ヒューリック社の高い信用力を裏付けとした資金調達力による、レーサム社の資金調達コスト削減及び事業拡大。

成長著しいレーサム社をM&Aにより、ヒューリック社の事業成長は更に加速することが想定されます。

参照 ヒューリック株式会社 2024年9月13日リリース 「株式会社レーサム株式(証券コード:8890)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ 

 

 


執筆者 株式会社M&A共創パートナーズ M&Aアドバイザー 篠浦 隆宏 

株式会社みずほ銀行に入行し、富裕層向けの資産運用の提案に従事。株式会社日本M&Aセンターへ転職後、M&Aコンサルタントとして幅広い業種のM&Aをサポート。前職は、新興のM&Aブティックにて主にIT企業のM&A案件を担当し、数多くの譲渡企業の支援に従事。


 

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